働き方改革をするにあたって必要な労働環境の改善方法

大企業が先行し、2020年からは中小企業も対象となった「働き方改革関連法」により、企業はさまざまな取り組みをすることが求められています。労働環境の改善も、そのひとつ。人手不足を解消し、国が掲げる「一億総活躍社会」を実現するためには、働く人のための環境を整備することが必要不可欠です。さてでは、どのように取り組んでいけばよいのでしょうか。この記事で解説します。

労働環境とは?

国は、労働者が安心して働ける社会をつくるために、『労働者労働基準法』『労働安全衛生法』などの法律を制定しています。事業主は、それらの法律を遵守することに努めなければなりません。誰もが快適に働ける労働環境をつくることも、そのひとつです。

「環境」という言葉から、エアコンや事務機器の整備など「物理的に仕事がしやすい場をつくればいい」と思われがちですが、実はそれだけでは十分ではありません。
職場の人間関係がギクシャクしていては仕事に支障が出ますし、残業や休日出勤が当たり前になっていては、働く人を疲れさせてしまうだけです。そういったことも含めて、労働環境の改善に取り組む必要があります。

労働環境をよくすると仕事の効率を上げり、仕事の効率が上がると業績も上がるはずです。つまり労働環境を整えることは、事業主のためでもあるといえます。

では、具体的にどのようなところから着手すればよいのでしょうか。次の項目で、説明します。

企業が気にするべき労働環境問題の例

労働環境の改善にあたっては、次のような観点から職場の現状を見直してみましょう。

人手不足、長時間労働の問題

少子高齢化社会のひずみで、多くの企業が人手不足に陥っています。人手が足りなければ、ひとり当たりの労働時間を長くして対処しなければなりません。業務量に対して適正な人員配置ができない、残業や休日出勤での長時間労働が常態化しているという場合は、改善策を考える必要があります。
有給休暇の取得率も含め、「時間」という観点で従業員に負担がかかっていないか、チェックしてみましょう。

セクハラやパワハラなど人間関係の問題

人間関係も、労働環境を左右する大きな要因といえます。性的な言動で相手を傷つけたり不快な気持ちにさせたりするセクハラ(セクシャルハラスメント)、社内での地位や力関係を盾にとって精神的・身体的苦痛を与えるパワハラ(パワーハラスメント)などのハラスメント行為があっては、従業員は安心して働くことができません。

ハラスメント行為は、思わぬところに潜んでいます。また、同じ行為でも、ハラスメントと感じる人もいればまったく感じない人がいます。しっかりと現状を把握することが大切です。

気温、湿度などの職場の物理的な問題
事務所の気温や湿度が適正に保てていないと、仕事の効率だけでなく、健康状態にもよくない影響が及びます。
そのほか物理的な要因としてチェックしておきたいこととして挙げられるのが、照明器具の明るさ、事務機器の振動や放熱の状況、換気の状態、不快なにおいはないか、環境を阻害する外部からの影響はないかといったことです。1日、その場で仕事をすることを念頭に置いて、確認してみてください。

労働環境を改善するためにできること

次に、労働環境の改善に向けてどのようなことができるかを考えてみましょう。

自社の現状を確認

お伝えしてきた内容に即して、まずは現状を正確につかみ取ることが重要です。
人手不足、長時間労働の実態については、就業規則を確認すると同時に、個々の労働時間、有給消化率、労災申請の割合について確認してみましょう。
職場内の物理的環境は、第三者の視点もまじえると、客観的に確認できます。

従業員に向けてアンケート

人間関係や物理的労働環境については、従業員にアンケートを実施することも有効です。特にハラスメント行為などは、人に言いづらく、アンケートをとらないと浮かび上がってこないかもしれません。

職場環境も、窓際にデスクがある人と、中央にデスクがある人、すぐそばにOA機器がある人とでは、感じ方が違うこともあるので、そういったことにも留意しましょう。

もちろん、回答は無記名にするなど、アンケートに答えやすくする配慮、アンケートに答えたことで不利益が生じないようにする配慮も忘れないようにします。

他社の事例を確認

今、さまざまな企業が働き方改革に取り組んでいます。取引先企業、メディアで紹介された企業など、他社の事例もぜひ参考にしてみましょう。自社にも取り入れられる取り組みがあるかもしれません。

実際の労働環境改善の例

最後に、具体的な労働環境改善例として、比較的取り組みやすいものをご紹介します。

フレックス制度やテレワークの導入

出退勤の時間を自分で調整できるフレックス制度、出社せずに離れた場所で働くテレワークは、各企業で導入が進んでいます。ITや情報通信技術が発達した現代ならではの働き方といえるのではないでしょうか。
9時から5時までが勤務時間という拘束や事務所に出社する必要性を見直し、自由な働き方を取り入れることで、労働環境の改善に期待がもてます。

参考:テレワークとは? 導入の方法とメリット

福利厚生の充実

福利厚生が充実している企業は、従業員の満足度も高くなります。通勤費や住宅手当の支給、育児や介護に対する支援、資格や技能取得のためのサポート、慶弔お見舞金の支給など、今の福利厚生にプラスできることを検討してみましょう。
従業員アンケートで意見を募ると、より働く人に寄り添った内容を盛り込むことができます。


労働環境を改善することは、人材を確保し、生産効率を上げるためにも必要不可欠といえます。ぜひ、お伝えした内容を参考に、自社の労働環境改善に取り組んでみてください。よい成果を出すためには、客観的に事実を把握すること、従業員の意見を集めながら進めていくことがカギになります。

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