テレワークを導入するときに注意! 社内ルールの作り方

テレワークとは、情報通信技術を活用した場所にとらわれない働き方のこと。「リモートワーク」ともいい、働き方改革の一環として国も導入を推進していますが、導入にあたっては、労使双方が安心できるよう、社内ルールをしっかり定めることが必要不可欠です。さて、ルール作りでは、どのようなことに注意していけばよいのでしょうか。具体的に説明しますので、ぜひ参考にしてください。

テレワークのルールをきちんと決めないといけない理由

テレワークは、「仕事は出社して会社でするもの」というこれまでの概念や常識を大きく変える働き方です。これまで当たり前だったことを当たり前でなくする取り組みですから、多かれ少なかれ、誰もが不安を感じるのは当然ともいえるでしょう。

どんな不安を感じるか――社員の立場でいうと、「仕事ぶりが目に見えなくなることで査定などに影響はないのか」「ほかのメンバーとのコミュニケーションはとれるのか」など、上司やほかの社員と関わらなくなることへの不安、雇用条件に対する不安の声が多く聞かれます。

逆に企業サイドとしては、従業員の働きぶりが目に見えにくくなってしまうため「きちんと仕事をしてくれているのか」「何か問題を起こしてはいないか」「会社の指示がスムーズに伝わるか」といったことが気になるようです。

不安を抱えたままで、いい仕事をすることはできません。テレワークの成果を出すためにも、双方の不安を取り除き、社内で共有できるルールを作って明文化しておきましょう。誰の目にも明らかなルールがあれば、安心して業務に取り組むことができます。

テレワークにおいて定めるべき内容

では、テレワーク導入にあたってどのようなルールを定めることが必要なのか、具体的に見ていきましょう。

就業時間、就業場所の取り決め

就業規則には、就業時間および就業場所に関することを取り決めて明記する必要があります。

就業時間の考え方を大きく分けると、9時~17時までのように、勤務開始と終了の時間を決める方法と、1日の労働時間を決めたうえで勤務の時間設定は社員に任せるフレックス制の方法とがあります。

就業場所については、次の3つに分類することができます。
社員の自宅で仕事をする「在宅勤務」、社外のオフィススペースやレンタルオフィスを利用する「サテライトオフィス」、カフェや移動中の乗り物、宿泊するホテルなどで業務を行う「モバイルワーク」です。
家庭環境や業務内容は社員によって異なるので、さまざまな状況を考慮しながら規定するようにします。

テレワーク申請に関する取り決め

できれば希望するすべての従業員にテレワークが実施できるとよいのですが、そうすると人が会社に不在となり、経営そのものが成り立たなくなってしまう可能性があります。
また、新入社員や中途入社の社員には、対面で教えていかなければならないこともあるでしょう。この場合、どちらかがテレワークをしていたのでは、弊害が出てしまうこともあります。

このような事情をふまえると、テレワーク希望の申請ができる事由を明示しておき、該当する社員に対して導入するという取り決めにしておいたほうが、会社としても安心です。
申請事由としては、「家族の介護をする」「出社しなくても業務成果に影響がない」といったことが考えられます。

評価制度の取り決め

出社して仕事をしている社員との間に不公平が生じないように、誰もが納得できる評価制度を取り決めておくことも必要不可欠です。どの点をどのように評価するのかを明確に提示し、テレワークを利用する人も安心して働けるようにしておきましょう。
テレワークには、どうしても「仕事ぶりが目に見えない」という不安がつきまといます。その不安を払拭するためにも、評価制度の取り決めは欠かせません。

セキュリティに関する取り決め

機密情報の漏えい、重要資料の紛失などを防ぐために、セキュリティに関する取り決めもしっかりとしておきましょう。
テレワークで使用する機器は会社が提供したもののみとする、IDとパスワードの管理を徹底する、安全性が確認できないネットワークの利用禁止など、業務内容に合わせて設定し、明文化しておきます。

勤怠、業務管理に関する取り決め

始業時間・終業時間の申告をどのようにするかなど、勤怠に関する取り決めも必須です。メールや電話で連絡するほか、オンラインツールの利用も検討してみましょう。

参考:テレワーク中の課題! コミュニケーション不足を解消する方法


そのほか、必要に応じて在席状況の確認をする、業務の進捗状況を随時報告するなど、誰もが緊張感をもって仕事に取り組める体制についても取り決めておくと安心です。


テレワーク勤務規程を作成・変更したときにすべきこと

従業員が常時10人以上の事業所は、テレワーク導入にともなって勤務規定や就業規則を作成、変更したとき、所轄の労働基準監督署に届ける必要があります。忘れないように準備を進めてください。


働き方改革の一環であるテレワークの導入をする場合は、初めにルールをきちんと定めることが重要です。勤務規定や就業規則に明記し、労使双方が納得し、安心してスタートできるようにしましょう。従業員が常時10人以上の事業所は、所轄労働基準監督署への届出も必要です。しっかり準備をして、テレワークの導入、スタートに踏み切ってください。

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